精神科臨床

表. 精神科臨床における心理アセスメントの6つの視点(丹野・石垣・毛利・佐々木・杉山,2015)

Ⅰ.トリアージ A.自傷・他害の程度
B.急性ストレスなのか慢性ストレスなのか
C.トラウマの有無
D.援助への動機や期待の程度
E.いま自分が提供できる援助リリース
Ⅱ.病態水準 A.病態水準と防衛機制
B.適用水準
C.水準の変化
D.知的水準と知的な特徴
E.言葉と感情の繋がり具合
Ⅲ.疾患にまつわる要素 A.器質性障害、身体疾患の再検討
B.適応水準
C.薬物や環境因による影響の可能性
D精神障害概念の再検討
E.症状をどのように体験しているか
Ⅳ.パーソナリティ A.パーソナリティ特徴(特に良い資質について)
B.自己概念、他者認知を含む認知の特徴
C.ストレス,コーピング
D.内省力の程度
E.感情状態
Ⅴ.発達 A.平均的な発達
B.思春期や青年期の特徴をはじめとする年代ごとの心理的な悩み
C.年代に特有の症状の現れ方
D.発達障害傾向の有無とその程度
E.ライフプラン
Ⅵ.生活の実際 A.地域的な特徴
B.経済的な面
C.物理的な面(地理、家屋など)
D.生活リズム
E.家族関係を含む対人関係

内観療法

吉本伊信が開発した数少ない日本生まれの心理療法である。
ここでいう内観とは自分にとって重要な人物との関係以下の三つの点に絞って考えることである。

  1. お世話になったこと
  2. して返したこと
  3. 迷惑をかけたこと

また、形態として一週間集中的に行う集中内観と日常生活の中で数時間から数分間行う日常内観があるが、通常では集中内観が用いられることが多い。

遊戯療法

大人が言語で何かを表現するように、子どもは遊びの中で何かを表現していく。
遊びにはそれ自体に、自己治癒的な意味があるが、子どもたちは遊びの中で伝えたいことをイメージとして象徴的に表現することで伝えてくる。

また、子どもが遊びの中でしばしば表現するのが攻撃性であり、日常生活ではその表現は不適切であることが多く、表現されにくい。
そういった意味で遊びの中で抑圧されてきた感情を解放し、伝えることができる点はこの技法のメリットであると言えるだろう。

アクスラインの八原則

アクスラインはプレイセラピストに必要な原則として以下の8つを挙げた。

  1. 友好的な関係をつくる。
  2. 子どものあるがままを受容する。
  3. セラピストは子供との関係で、受容的な感情を作り出すようにする。
  4. セラピストは子供の表出した感情を正確に反映する。
  5. 子どもの自己治癒力を信じる。
  6. セラピストは治療の成果を焦らない。
  7. 必要な制限を設ける。
  8. セラピストは主導的になってはいけない

認知行動療法の基礎

認知行動療法は人の感情と行動のかなりの部分がその人の世界の構造化の仕方(スキーマ)によって規定されているという理論的原理に基づいている。
以下の図は出来事、認知、感情の関係を図示したものである。ここでは友人からの連絡がないことに関して不安を抱いているが、その不安の原因は連絡がこないことではなく、その中間にある認知にこそあると考える。

この「認知」は認知行動療法において大きく三つに大別される。
自動思考、推論の誤り、スキーマである。

自動思考・・・自動的に思い浮かぶものであり、他人からは不合理に思えても本人には当然のことのように思える。
Ex:何か自分に不都合なことをされたときに「自分は嫌われている」と思いがちである。etc…
推論の誤り・・・ベックは12の推論の誤りを紹介している。
1 全か無か思考→良い結果と悪い結果という風に二極化してしまう。
2 破局視→未来を否定的に予測する。
3 肯定的な面の否定→肯定的な経験や行為を不合理に無視しようとする。
4 感情的理由づけ→自分の思い込んだように事実を認識する。
5 レッテル貼り→自分や他者に対して非合理なレッテル貼りをする。
6 拡大視/縮小視→否定的な側面を不合理に重視する。
7 選択的抽出→否定的で些細なことに極端に注目する。
8 読心術→他人が考えていることを分かっていると思い込む。
9 過度の一般化→非常に些細なことに着目し、それを一般化しようとする。
10 個人化→様々なことを自分のせいでだと思い込む
11 べき思考→厳密で固定的な考えを持ち、その期待通りにならないのは悪いことだと思い込む。
12 トンネル視→物事の否定的側面しか見ない。
スキーマ・・・経験や行動を体系化する認知構造。

関係性

認知行動療法における関係性には「あたたかさ」、「共感」、「誠実さ」の三つが必要であるとされている。

摂食障害

神経性過食症

体重が増えること、肥満になることを恐怖しており、やせたいと思っている。
体重は正常体重範囲であることが多い。
食行動:
排出型:自己誘発性嘔吐や下剤乱用を伴う
被排出型:排出行為を伴わない

神経性食思不振症

体重は標準体重の85%以下、BMIが17.5以下である場合が多い。
意識的に低体重を維持している。
摂食制限型:食べる絶対量が少ない
過食排出型:時に大量に摂食しその後排出し、体重の増加を阻止する。

治療法としては認知行動療法が最もエビデンスのある精神療法として挙げられる。

 

疫学

先進国の若年女性に多く、男性や途上国では少ない。しかし、現在日本では若年男性における摂食障害が増加しており、留意すべき点であると言える。

自閉スペクトラム障害

症状

・コミュニケーションの障害
・社会性の障害
・想像力の障害(しばしば言われるこだわりはここに入る)

コミュニケーションの障害は言葉の発達の遅れ、言葉が出てくるとオウ
ム返しや人称の逆転(「わたし」と「あなた」が逆転する)などの異常が出現する。
社会性の障害は抱かれるのを嫌がる、一人遊びを好む等。
想像力の障害は日常の慣習に強く抵抗する。例として時間割が少しで
も変更されると強い不安が喚起され、パニックを起こす。また、すべす
べしたものに触れるといった行動やリモコンを一日中弄り回すなど一
つのものなどに強い執着を示す場合がある。このこだわりは短所でも
あるが、研究等にはメリットとなり、高い集中力を要するものに対して
は強みとなる。

その他の特徴
・異常知覚
特定の感覚が酷く、クラクションの音などでパニックを起こすことがある。
・視覚優位
言語よりも視覚での理解の方が優位。そのため、教育場面では絵などを用いて図示することでより効果的な説明が可能となる。

疫学

・男女比は3~4:1で男子に多い。その内約75%が知的障害を伴う。
・有病率は1,000人に2,3人

双極性障害

疫学 

頻度(有病率)…12ヶ月有病率が0.1%、障害有病率が0.7%。つまり、生涯の内に双極性障害を経験する人は7~15人に一人である。
年齢…17~29歳。
性差…大うつ病に関しては女性が2倍の有病率であるが、双極性障害の場合は性差は見られていない。

症状
うつ病相
—抑うつ気分や興味関心や楽しさの欠如、体重または食欲の変化、無価値観あるいは自責感、自殺念慮や自殺企図、疲労感、気力の減退、思考力や集中力の減退、決断困難といった症状が挙げられる。
躁病相—基本的特徴は気分が高揚し、開放的になる、あるいは【怒りっぽくなる、状態の程度が強く、

SST(Social Skill Training)

日本語では社会技能訓練や生活技能訓練と訳される。
この技法は、認知行動療法の一種とみなされ、考え方もそれに基づいたものとなっている。
個々のクライエントが不適切な形で学習したスキルを適切な形にしていくことを目指すものであり、集団で実施されることも多い。
日本では発達障害のクライエントに向けて行われることが多い。

学ぶスキルとしては以下のようなものが挙げられる。
1.非合理的な要求を上手く断るスキル、相手を傷つけないように自分の要求や権利を主張するスキル
2.相手との利害の対立や葛藤を問題として捉え,それを克服するスキル
3.人との関係を円滑にし,それを維持するために必要とされる友情形成スキル

 

強迫性障害

症状
・脅迫思考
・強迫行為
・強迫性恐怖

自分でもばかばかしいと思う考えが意思に反して浮かび(強迫思考)、考えまいとしても自分ではどうにもならず、ある行為をせざるを得なくなる(強迫行動)というもの。

強迫性恐怖の代表的なものに不潔恐怖があり、これは身体に触れるものすべてが不潔であるという観念からくるものである。この恐怖から患者は手が荒れるほどに手を洗う洗浄強迫という症状に陥る。

疫学

米国における12か月有病率は1.2%であり、世界的な有病率は1.1~1.8%である。
女性の方が若干高い確率で罹患する。
年齢は14歳までに罹患する確率が25%であり最も高い。